近況・新刊情報と最近読んだ本など

 寒波が列島を襲っていますが皆さんいかがお過ごしでしょうか。こちらは雪でえらいことになっています。まあ外出できないと積読の消化が捗るのでそれはそれでいいんですが。

 中央公論新社の3月分新刊の情報が出ています。新書については珍しくこの月はこのブログとしてはあまり注目すべき本はないかなあという感じですが、文庫に西牟田靖『本で床は抜けるのか』というタイトルが挙がっていて他人事じゃねえなあ……みたいな気分に。
 さて、それ以外の新刊情報。
 星海社新書3月、『周』の佐藤信弥先生の『中国古代史研究の最前線』。日本史以外の歴史本がこのレーベルから出るのは珍しい気がしますが、著者を見る限り安心して読めそうです。
 山川の世界史リブレット人3月は松浦義弘『ロベスピエール――世論を支配した革命家』。

 以下、最近読んだ本。
 

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近況・新刊情報と最近読んだ本など

 遅くなりましたがあけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。昨年研究書をほとんど読んでいなかったことに気付いたので、今年は年始から研究書を読んでいます。今年はもう少し研究書・論文に時間を割けるといいのですが。

 ところで、2011年8月のイスラーム特集以来なので3年半振りくらいになりますが、Penの2月1日号を買いました。今回はアラブ特集なんですが、印刷が良いのと解像度が高いのとでやはり写真が美しい(なんと『マカーマート』写本に掲載されている例の有名な13世紀の図書館の挿絵が一頁まるまる使って載っている)のが素晴らしいですね。ついつい我々は歴史の方に目を向けてしまうんですが、アラブ圏の現代建築や芸術家たち、アラブ映画等についても書いてあるなど、なかなか面白い内容でした。


 もう一つ、東京国立博物館で「アラビアの道-サウジアラビア王国の至宝」と題してサウジから借り受けた展示物を公開しているようです。サウジ入国は例外はあるにしろ基本的にムスリムでないと無理なので、この期を逃すとたぶんずっと見れない物が多そうな雰囲気です。会期は3月18日までなので、なんとか時間を見つけて行きたいところですが。

 さて、新刊情報。
 日本史リブレット人3月には山家浩樹『足利尊氏と足利直義――動乱のなかの権威確立』 。昨今の室町ブームに乗っかったわけではないのでしょうが、やっと室町幕府の創設者の巻が出ます。もう一冊は永井和『西園寺公望――政党政治の元老』。
 ミネルヴァ書房2月、日本評伝選シリーズから黒田基樹『北条氏政――乾坤を截破し太虚に帰す』。氏政は大河ドラマ真田丸での活躍が印象的ですが、真田丸で時代考証を担っていた黒田先生の氏政本ということになります。ここ最近ミネルヴァ日本評伝選は手が遠のいていたのですが、これは買おうかなと。
 大阪大学出版会から2月末、宮下遼『多元性の都市イスタンブル――近世オスマン帝都の都市空間と詩人、庶民、異邦人』。文学史の研究者の方の専門書のようですが、社会史としても面白そうです。
 創元社の創元世界史ライブラリーから中平希『ヴェネツィアの歴史――海と陸の共和国』。発売日は3月。
 平凡社から新書で小原克博『一神教とは何か――キリスト教、ユダヤ教、イスラームを知るために』。同志社系の一神教本なので大外れということはないでしょう。また、非常に驚いたのですが完結した中世思想原典集成に続シリーズが出るようです。なんとまあアレを完結させただけでとんでもないことだと思うのですが、続きまで出るとは。第一弾はトマス・アクィナス『真理論』の模様。

 ほか、講談社学術文庫には以前ちくま新書から出ていた鈴木董先生の『オスマン帝国の解体』が収録されるようです(どうしてちくま学芸文庫ではなく講談社学術文庫なのかは謎)。

 以下、最近読んだ本。

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 今年最後の近況記事になりそうですが、今年もお世話になりました。

 年間読書は去年に比べれば相当ペースが落ちているものの、なんとか歴史を含む人文関連で50冊を突破というところでした。アウトプットは若干増えましたが、ブログに載せられるようなものではなかったので更新頻度は落ち気味だったかもしれません。

 大河ドラマも無事完結ということで、戦国大河は地方編の方が面白く、中央に出ていってしまうと毎回同じような展開になってしまうなあと思っていたのですが、今年は一年を通じて井伊谷の話で、地元の百姓たちも準レギュラーとしてほぼ丸一年出演していましたし、非常に珍しい面白い大河ドラマでした。さて、来年の西郷どんはどんな風になるのか。

 では新刊情報。
 講談社選書メチエ1月、斎藤慶典『「東洋」哲学の根本問題――あるいは井筒俊彦』。この著者と井筒俊彦の組み合わせというと結構まさかだろ感があるんですが……期待と不安の両方がかなり大きい本です。メチエのもう一冊は上垣外憲一『鎖国前夜ラプソディ――惺窩と家康の「日本の大航海時代」』。
 岩波新書1月には末近浩太『イスラーム主義――もう一つの近代を構想する』。ヒズブッラー(ヒズボラ)関連で研究書を出している末近先生の新刊です。
 勉誠出版2月、堀田あゆみ『交渉の民族誌――モンゴル遊牧民のモノをめぐる情報戦』。出版社サイトでの分野分けは民族学となっていますが、経済学にも絡んできそうな雰囲気です。

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 和訳wikiの方に『フィフリスト』から仏教関係の記述「シャマーニーヤ(仏教徒)の教義」を追加しました。ムスリム側からの仏教認識については色々おもしろいものがあるのでいずれコラムにでもまとめたいと思いますが手を出すのはなかなか難儀しそうな分野です。

 さて、新刊情報。
 戎光祥出版が選書シリーズ「戎光祥選書ソレイユ」を創刊するようです。第一弾は今月発売で石原比伊呂『足利将軍と室町幕府――時代が求めたリーダー像』と樋口健太郎『九条兼実――貴族がみた『平家物語』と内乱の時代』とのこと。いきなり室町幕府というあたりがさすが戎光祥というところでしょうか。四六判210頁で2000円程度とのことなのでこの出版社の本としては比較的手頃かと思われます。吉川弘文館の「歴史文化ライブラリー」と肩を並べるくらいに成長してほしいものですが、さてはて。
 年末の際も際ですが黒田壽郎先生訳で『雄弁の道――アリー説教集』が書肆心水より。これはけっこう重要史料です。
 白水社からは年明けにジョナサン・ハリス『ビザンツ帝国 生存戦略の一千年』。同著者の『ビザンツ帝国の最期』に引き続き訳者は井上浩一先生。
 岩波新書1月には末近浩太『イスラーム主義 ――もう一つの近代を構想する』というタイトルが。
 一応2017年予定になっているのでそろそろ出ないとまずいのではというのが名古屋大学出版会より大塚修『普遍史の変貌――ペルシア語文化圏における形成と展開』。内容じたいはすこぶる面白そうです。

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 先の近況報告で書いた通り京都の国宝展に行ってきましたが、個人的な目玉は後宇多天皇の宸筆でしたかね。後宇多天皇と言えば大覚寺統の非後宇多流と持明院統の双方を抑え中継ぎ天皇として後醍醐帝を立てたというかなりの豪腕政治家ですが、書跡の部で展示されており、どちらかというと仏教関係者(最澄の真筆も!)ゆかりの品が多かったところにポンと出てきたので思わず目を剥きました。
 年末は忙しくなってきそうな気配ですが、余裕のある時に年内あと一回くらい遠出しておきたいなあと思っています。まあどうなるか分かりませんが。

 さて、新刊情報。
 まずは来月の12月分。
 世界史リブレット人新刊は中島毅『スターリン――超大国ソ連の独裁者』。割と最近中公新書でスターリンの評伝が出ましたが(レビューはこちら)、違いがどう出るのか気になりますね。
 珍しいところから出ますが、集英社のインターナショナル新書から廣瀬匠『天文の世界史』という本が。著者は南インドの天文学などについて造詣の深い方のようで、ヨーロッパに偏らない文字通りの世界史になりそうです。
 作品社からはイブン・タイミーヤ『イブン・タイミーヤ政治論集』。編訳及び解説は(まあ他にはいないだろうというところですが)中田考氏。
 中公新書では佐藤彰一『剣と清貧のヨーロッパ――中世の騎士修道会と托鉢修道会』 、アリステア・ホーン『ナポレオン時代――英雄は何を遺したか』あたりが面白そうです。
 吉川弘文館の歴史文化ライブラリーは時々世界史ものを出しますが、12月分の新刊に古畑徹『渤海国とは何か』というタイトルが挙がっています。

 講談社学術文庫ではハードカバーで出ていた「天皇の歴史」シリーズが収録されるようです。このところ興亡の世界史といい天皇の歴史といいハードカバー本の文庫収録が続きますが、「中国の歴史」シリーズは相変わらず音沙汰がありませんねえ。

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当ブログは一介の歴史好きが読んだ本を紹介したり、書いた文章を公開したりするための場です。執筆記事は西アジア史関係が多いですが、読書は西アジアにこだわらず地域・時代を広く浅く扱っています。
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