近況・新刊情報と最近読んだ本など

 近況記事をしばらく書かないうちに読んだ本が12冊も溜まっていて下の長さがえらいことになってしまいましたが、まあそれはさておき。
 以前、NHK青春アドベンチャー枠で並木陽さんの『斜陽の国のルスダン』がラジオドラマ化されました。今回はなんと並木さんのラジオドラマオリジナル脚本で『暁のハルモニア』という作品が放送される模様。舞台は三十年戦争時代のヨーロッパのようで、放送は8月27日から。放送から1週間は聞き逃し放送もあるようなので要チェックです(『真田丸』で真田信尹を演じていた栗原さんがスウェーデンの宰相オクセンシェルナ役で出演されるそうで、個人的に注目しています)。

 では、新刊情報。
 明石書店から今月末、『幸福の智恵 クタドゥグ・ビリグ』。テュルク語による現存最古のテュルク・イスラーム文学作品が和訳されたようです。訳者は山田ゆかり氏。
 山川出版社9月、鈴木董『文字と組織の世界史――新しい「比較文明史」のスケッチ』。鈴木先生の『オスマン帝国の解体』なんかを読んでいると文字に着目した文化世界論を展開しているんですが、それがまとまった一冊の本のようですね。400頁近いのでけっこう歯ごたえのありそうなものになるようで。
 
 以下、最近読んだ本。

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近況・新刊情報と最近読んだ本など

 ここ最近哲学書ばかり読んでいる気がしますが、先日大阪に行った時に岩波の新・哲学講義シリーズが8冊揃いで3500円で古本屋にあったのでついつい買ってしまいました。読むべき本が芋づる式にずるずる出てくるのでしばらくはこの傾向が続きそうです(歴史書読むのをやめたわけではないのですが)。

 では、新刊情報。
 講談社8月、学術文庫には興亡の世界史シリーズの石澤良昭『東南アジア――多文明世界の発見』と神田千里『島原の乱――キリシタン信仰と武装蜂起』が収録される模様。
 国書刊行会から8月、なんと宮崎市定先生の評伝が。井上文則『天を相手にする――評伝宮崎市定』。井上先生、『軍人皇帝のローマ』でも宮崎先生から影響を受けた、みたいなことを書いておられましたがまさか評伝まで書いてしまうとは。

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 先日、休みを利用して日本で唯一淡水に浮かぶ有人島である琵琶湖の沖島に行ってきました。
 当地の神社にあった説明書きによると沖島に人が住み始めたのは源氏の落ち武者が始まりだとする伝承があるようです。平家の落人集落の伝説なんてものは西日本を中心にどこにでもありますが、源氏の落ち武者伝説というのは実に珍しいことで。
 島にはコンビニも床屋もありませんが、郵便局はあり、寺がふたつと神社がふたつありました。電話線は湖底ケーブルが使われているとのこと。帰りは温泉に入ってきましたが、なかなかおもしろい旅先でした。

 さて、新刊情報。
 集英社新書7月、佐藤賢一『テンプル騎士団』。集英社新書や講談社現代新書でちょくちょく佐藤先生は歴史ものの新書を出していますが今回はテンプル騎士団の模様。著者が著者ですし十字軍というよりはヨーロッパで繰り広げられた活動に焦点が当たるんでしょうかね。
 中公新書7月、なんと蔀勇造『物語アラビアの歴史――知られざる3000年の興亡』 。ここ最近アラビア半島での先史考古学の分野は日本語でも読める資料が色々出版されていますが、蔀先生の本となるとそのあたりなかなか面白い内容が期待できそうです。
 吉川弘文館からは7月、人をあるくシリーズの久々の新刊、山口博『北条氏五代と小田原城』。同月の歴史文化ライブラリーからは稲葉継陽『細川忠利――ポスト戦国世代の国づくり』、尾脇秀和『刀の明治維新――「帯刀」は武士の特権か?』
 講談社選書メチエ7月、岡本隆司『近代日本の中国観――石橋湛山・内藤湖南から谷川道雄まで』。岡本先生、同じ月にちくま新書からも本を出すはずですがペースが早すぎでは……?

 以下、最近読んだ本。

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 気がついたら紹介を書いてない本が6冊も溜まっていましたが、今年はこれで計48冊になるので年間100冊は突破できそうなペースです。もちろん、数だけではなく内容の精読と、すぐ読めない厚い本を読むことというのも大事ではあるのですが。

 さて、新刊情報。
 岩波新書7月、清水克行『戦国大名と分国法』。清水先生の本はどれも面白いのでこれも期待できそうです。
 ちくま新書7月からは岡本隆司『世界史序説――アジア史から一望する』。岡本先生の本なので雑なものにはならないでしょうが、なかなか大きく出たなというタイトルです。『宗主権の世界史』あたりを引き継いだ内容になるんでしょうかね。
 同じくちくまから文庫にはミカエル・ロストフツェフ『隊商都市』が収録される模様。40年前に新潮選書で出ていた本ですが、どういったわけかこのタイミングでの文庫化となりました。

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 以前バーミンガム大学で年代測定によって現存する最古のクルアーンではないかとされる写本の断片が出てきたということがニュースになり、コラムでも少し触れました。中町信孝先生のTwitter情報で知ったのですが、この件の続報としてBBCが報じており、書体の年代の問題などから疑義が提出されているとのこと。炭素同位体測定の結果と書体の年代のズレが200年ほどあり、かつバーミンガム大によれば再利用紙ではないとのことなので、新品で200年も使われずに置いていた羊皮紙を使ったという推測が成り立つのではないかなあとのこと。
 なかなか面白い案件ですが、引き続いての報告を待ちたいところです。

 さて、新刊情報。
 今月の新潮選書、池内恵『シーア派とスンニ派』。以前同選書から出版された『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』と同じシリーズということになるようです。
 同じく今月、亜紀書房よりメアリー・ビアード『SPQR ローマ帝国史』。
 戎光祥出版は6月に丸山裕之『図説 室町幕府』。信頼できる出版社からこの手のわかりやすい図説本が出るのって室町幕府では非常に珍しい気がしますね。
 洋泉社歴史新書yより6月、亀田俊和[編]『初期室町幕府研究の最前線』。このレーベルの最前線シリーズはなかなか攻めてきていて応援したくなります。
 日本史リブレット人6月は『法然――貧しく劣った人びとと共に生きた僧』。

 小説では北方謙三氏がまさかのチンギスものを書くそうで。集英社より、第一巻タイトルは『チンギス紀 一 火眼』とのこと。楊家将や岳飛伝、水滸伝などで北アジア系政権のあれこれを書いてきているのでたしかに既定路線と言えばそうなのかもしれませんが……。つまらないものになることはないでしょうが、さてどんな作品になるのか。

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鉄勒京二

Author:鉄勒京二
当ブログは一介の歴史好きが読んだ本を紹介したり、書いた文章を公開したりするための場です。執筆記事は西アジア史関係が多いですが、読書は西アジアにこだわらず地域・時代を広く浅く扱っています。
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