井筒俊彦『イスラーム哲学の原像』


 イスラーム哲学の原像というタイトルであるが、扱われているのは主に神秘主義哲学、特にイブン・アラビー。碩学井筒俊彦氏の手によるイスラーム哲学の解説。

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小林登志子『シュメル――人類最古の文明』


 古代オリエント史において重要な位置を占めるシュメル人と彼らの文明についての一冊。

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ウディ・レヴィ『ナバテア文明』


 古代のおよそ一千年の間、ユダヤの王国の東隣に栄えたナバテア文明についての一冊。

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近況・新刊情報と最近読んだ本など

 そろそろ朝晩冷えてきましたがいかがお過ごしでしょうか。こんな日は読書の秋と称して温かい部屋で本を読むに限ります(お前はいつもそれだろう、とか言ってはいけない)。
 今月はちと資金繰りが厳しいので食費を若干削りつつ、本代も節約せねばなりません。世知辛いことです。

 さて、新刊情報。
 風響社のブックレット「アジアを学ぼう」シリーズから『亡命者の20世紀』という本が出ます。発売日は15日。目次を見てみるといろいろ興味深い名前が目白押しですが、中でもバスマチ蜂起の指導者の一人、ゼキ・ヴェリディ・トガンが目玉でしょうか。他にもアブデュルレシト・イブラヒムやクルバンガリーの名前なども。
 中公新書10月の新刊には『水中考古学』。元寇船の発見がニュースになったのは記憶に新しいですが、詳細は載っているのでしょうか。同11月には鍛代敏雄『戦国大名の正体 家中粛清と権威志向』、楊海英『日本陸軍とモンゴル 興安軍官学校の知られざる戦い』。丸島先生の戦国大名外交本か、黒田先生の『戦国大名』か……どちらかかあるいは両方か、何がきっかけになったのか分かりませんが、先月の村井先生のメチエといい、今回の中公新書といい、ポンポンと戦国大名論の本が出ますねえ。
 メチエと言えば、11月の予定に岩崎育夫『世界史の図式』というタイトルが挙がっています。著者は『物語シンガポールの歴史』などを書かれた岩崎先生ですが、タイトルが大きすぎて何を書くのかさっぱり予想がつきません。果たしてどんな本なのでしょうか。
 ちくま学芸文庫から11月には『シュメール神話集成』が出るようです。
 名大出版会の『<驚異>の文化史』ですが、発売日が今月27日になった模様。
 新田義貞を主人公とした安部龍太郎さんの歴史小説『義貞の旗』は26日。

 以下、最近読んだ本と観たDVD。

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ヴェニゼロス、ケマルをノーベル平和賞候補に推薦する

 つい昨日、今年のノーベル平和賞はチュニジアの民主化に貢献した「チュニジアン・ナショナル・ダイアログ・カルテット」に授与されることが発表されました。当のチュニジアを皮切りとした「アラブの春」以降、多くのアラブ諸国で政変が起こりましたが、内戦や混乱、軍政の復活などでその後の民主化プロセスはうまく行っているとは言えません。ただ、唯一チュニジアだけが依然状況は厳しいもののひとまずの成功例と見なされています。
 選考委員会は「賞を通じて、中東や北アフリカをはじめ世界中で、平和と民主主義の実現のために努力しているすべての人々を励ましたい。チュニジアの事例が他の国々の手本となってほしい」と述べています。シリアといいリビアといい、安定にはまだ遠い道のりがありそうですが、より早い平和が訪れることを願ってやみません。

 さて、ノーベル平和賞が政治利用される(あるいは、そう見なされる)ことが時々あります。その事の良し悪しはさておき、ギリシア首相エレフセリオス・ヴェニゼロスがトルコ共和国大統領ケマル・アタテュルクをノーベル平和賞に推薦したことがありました。
 詳しい方ならご存知かもしれませんが、この二人の突出した政治家は、第一次世界大戦の結果オスマン帝国が解体されていた時期に起きた希土戦争開戦当時のギリシアとトルコの指導者でした。もともと混住地域の多かったギリシア人とトルコ人(この概念もこのころ生まれたものですが)は互いにこの戦争で血で血を洗うことになります。
 ヴェニゼロスは開戦早々、選挙で負けて退陣していますが、彼が政権に不在の間にギリシア軍は戦争に負け、小アジアから撤退することになります。

 この戦争の後、ケマルはトルコ民族主義を固め、ギリシアの政権に返り咲いたヴェニゼロスも、自身がかつて拘った「メガリ・イデア」(大ギリシア主義)を放棄し、領土拡張方針を改めます。二人とも、大国は信用できないという認識と、領土の拡大を望まないということは共通していました。そして彼らはともに、ある意味ではオスマン帝国に生まれ、オスマン帝国と闘った人物でもありました。
 1930年、両政府はアンカラ協定を結び両国の境界の確定を行いました。この流れの中で、ヴェニゼロスはトルコとの関係をさらに進めるため、ケマルをノーベル平和賞に推薦したというわけです。

 結局ケマルは受賞しませんでしたが、この二国はその後戦火を現在まで交えていません。常々、仲が悪いと言われるギリシアとトルコがなんだかんだこれまでやってこれた一つのエポックメイキングな時期に、こんなエピソードがあったというお話でした。



「アラブの春」以降の各国の状況については松本『アラブ諸国の民主化』が簡便。ヴェニゼロスについては村田『物語 近現代ギリシャの歴史』(当記事の大部分の元ネタもこの本)、ケマルはさしあたり新井『トルコ近現代史』。

生井英考『空の帝国 アメリカの20世紀』


 興亡の世界史第19巻。空を通じたアメリカ近現代史。

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高野太輔『マンスール』


 世界史リブレット人の一冊。アッバース朝の事実上の創建者、マンスールの評伝。

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鉄勒京二

Author:鉄勒京二
当ブログは一介の歴史好きが読んだ本を紹介したり、書いた文章を公開したりするための場です。執筆記事は西アジア史関係が多いですが、読書は西アジアにこだわらず地域・時代を広く浅く扱っています。
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