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王道の樹/小前亮


「すべての民が安寧に暮らせるよう、この国を一つにしたいのです」
「すべての民というと?」
「氐も漢も羌も鮮卑も匈奴も、すべてです」
 本文より

 戦乱の五胡十六国時代、民族融和を掲げて理想へ邁進した苻堅と王猛の物語。
 
 バトゥを主人公にした「蒼き狼の血脈」でなかなか通好みな小説を書く人だと思ったが、本作は三国を統一した西晋が倒れた五胡十六国時代、チベット系遊牧民であった氐が建国した前秦が舞台である。
 前秦の皇帝である苻堅は多民族の坩堝と化した中原で、稀代の名宰相王猛の力を借り、中国統一に最も近付いたが、後一歩及ばず淝水の戦いで敗れ、前秦は斜陽の道を辿る。

 とまれ、主人公の苻堅である。この人物に感情移入できるかどうかでかなり話の面白さが変わってくると思う。管理人は幸いながら中華よりも北方草原に肩入れしている人間なので彼の説く理想にすこぶる共感できた……のだが一般的な評価はさてどうか。理想ばかり追い求めて危なっかしい君主、とも読めるわけである。

 また一方で、脇を固める慕容垂や羌、敵方の東晋の桓石虔は見ていて安心できる。

 個人的には匈奴の活躍が読めなかったのがいささか残念なのと、例によって序盤の話の作りがやや浅いが、最後は涙せずにはいられなかった。
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鉄勒京二

Author:鉄勒京二
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