イスラムと十字軍/NHK「文明の道」プロジェクト


 初学者向け:◎

 2003年に放送されたNHKスペシャル「文明の道」シリーズを書籍化したもの。内容は流石NHKと言うべきか、非常に丁寧な作りになっている。
 内容は放送の「第6集 バグダット・大いなる知恵の都」及び「第7集 エルサレム 和平・若き皇帝の決断」をまとめたもの。
 9.11以降イスラムに対する不信が広まっていたころにこの映像を放映したNHKには敬意を表したい。無知は容易に敵意にすり変わるからだ。

 フリードリヒとアル=カーミルの和平について知りたいなら、DVDがやたら高価なのでまずこの本を読むことをおすすめしたい。丁寧な文章と豊富な資料を組み合わせ、記述を必要充分に絞ってあるので読みやすい。出来る限り事実に即し、その上で読む者に訴えるように構成してある。長年ドキュメンタリーを手がけてきただけのことはある。

 フリードリヒはイスラム教徒も人間であることを知っていた。故に無為な敵意を持つことは無かった。繰り返すが、無知は容易に敵意にすり替わる。「知る」ことは何よりも重要だ。

 ただまあ、あくまで報道機関が作成した本なので、いささか不正確な点もある。「アラブが見た十字軍」や「物語 イタリアの歴史」も合わせて読みたいところである。
 個人的には好きではないのだが、レジーヌ・ペルヌー女史は著書でルイ九世を持ち上げてフリードリヒを叩くことがままある。気には入らないがこういった見方を知ることも重要であろう。
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鉄勒京二

Author:鉄勒京二
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