朱温/仁木英之


 五代十国時代の初め、後梁を建国した朱全忠(朱温)を主人公にした小説。作者は以前レビューした「李嗣源」の仁木英之氏。
 
 上下巻合わせて1200頁近く、内容も濃い。出来るだけ広い範囲をカバーしようとしているので、これを読めば五代初期の主要な勢力の動きが概ね分かる。
 しかし一方でそれは登場人物が多いということでもあり、ある程度の地名と、五代の後梁の朱温、後唐(当時は山西軍閥の晋)の李克用、十国の呉の楊行密、呉越の銭鏐、前蜀の王建あたりは把握しておかないと読んでいて誰が誰か分からなくなってしまう。概説史本で予習をするか、読みながらwikipediaででも検索をかけて調べるかする方が楽しめる。

 李克用は言うに及ばず他の群雄もそれぞれ魅力的で、管理人は呉の楊行密が好きになってしまった。
 朱温は朱温でだんだんと冷酷になっていく様が、そして時折見せる過去の朱温そのままの本音が悲しい。失敗した曹操と言えば褒めすぎかもしれないが、英雄であったことに間違いはないのだろう。
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鉄勒京二

Author:鉄勒京二
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