イスラム・スペイン千一夜/小西章子
イスラーム・スペインを通史的に見る。どちらかというと歴史書よりは随筆に近い。
扱われているのは西ゴート王国の滅亡、イスラーム=アンダルスの成立から、グラナダの陥落。後ウマイヤ朝のアミール・カリフ、エル=シド、グラナダの国王まで。ただし、マグリブ王朝のスペイン領に関する情報はそれほど無い。
「歴史学」なぞ何処吹く風で、人物史的な要素も存分に取り込み、当時の詩も引用しながら著者の思い入れもちりばめつつ史実をなぞっていく。
イスラーム時代のイベリアの歴史が概観できるので、一冊あると便利である。更に詳しい史実を知りたい場合は「イスラムとヨーロッパ/前嶋信次」か「寛容の文化/マリア・ロサ・メノカル」あたりをお勧めしておく。