十字軍と地中海世界/太田敬子


 山川の世界史リブレットの107冊目。著者はムスリム・キリスト教徒関係史とイスラーム時代中東社会史を専攻しているとのことらしい。
 
 安い。薄い。が、内容はなかなか面白い。
 「海軍・海運」がひとつのキーワードになっており、港の機能や、兵站、海軍戦力などに着目している。
 セルジューク朝・ファーティマ朝の内部事情に詳しいことも特徴で、アトスズ・ブン・ウヴァクやアクソンコルの名前も出ている。
 一方のキリスト教徒側の遠征としては、ナンバー十字軍だけでなく、シチリア王国のエジプト遠征や、ノルウェー王シグルド1世の十字軍にも言及がある。

 全体的に、十字軍の概説史本では扱っていない部分に光が当たっており、厚みは薄いながらに中身は濃い。もっとも、この本だけで十字軍を概観するのは難しいかもしれないので、ほかの本も一緒に読むことをおすすめする。
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鉄勒京二

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