イスラムの蔭に/前島信次


 生活の世界歴史シリーズの1冊。著者は日本でのイスラーム史の草分けの一人、前島信次氏。
 
 主に、10世紀のバグダード(アッバース朝)とコルドバ(後ウマイヤ朝)の時代を扱う。生活の世界歴史と銘打ってはあるが、どちらかというと庶民の日常生活よりは文化史的な見方に重点が置かれている。
 同時代のアッバース朝と後ウマイヤ朝の通史もあるので(逸話も多く、ザンジュの乱の鎮圧に活躍した将軍の話などもある)、そういった点でも面白く読める。特に、中期アッバース朝の比重が重い本は多くないので貴重と言えるだろう。

 文化史的な内容としては、星の暦の各月の詳しい解説、マーカート(小話集)、詩、建築、恋愛論の紹介などなど……。

 内容の初出は1975年と少し古い本だが、文庫になっており手軽に手に入る。この分野の本としてはそれほど新しいものも出版されていないので今でも読む価値はある。
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鉄勒京二

Author:鉄勒京二
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