ヨーロッパとイスラーム世界/高山博


 山川の世界史リブレットの58冊目。著者はシチリア史で有名な高山博教授。
 まあ例によって安い薄いの世界史リブレットだが、ごくごく一般的な論説を、初心者にもわかりやすく、要点をまとめ、なおかつ細かい部分でも外せないと思われるところは押さえてある。
 地中海を軸に、グローバルな世界史像を構築することを目指して書かれたということらしい。
 「1.枠組み 集団と歴史」では前史を扱い、「2.比較 文化圏」で「ヨーロッパとイスラーム世界」というタイトルではあるが、ギリシャ・東方正教文化圏、アラブ・イスラーム文化圏、ラテン・カトリック文化圏の三つの文化圏を設定し、それぞれの関わりを追う。
 「3.接触 交流と衝突」には個別事例として十字軍やシチリア・イベリアでの交流・衝突などが挙げられる。
 「4.統合 グローバル化」では近現代の問題も扱われており、サミュエル・ハンチントンの「文明の衝突」論に対する反論は、至極もっともであるとうなずけよう。

 著者独自の視点があまりはっきりとは表に出てこないことが不満ではあるが、入門向けにはいいのではないか。
プロフィール

鉄勒京二

Author:鉄勒京二
当ブログは一介の歴史好きが読んだ本を紹介したり、書いた文章を公開したりするための場です。執筆記事は西アジア史関係が多いですが、読書は西アジアにこだわらず地域・時代を広く浅く扱っています。
当ブログの内容を雑誌・書籍等にご利用されたい場合はご一報下さい。
管理人への連絡は掲示板か拍手でどうぞ。

検索フォーム
カテゴリ
リンク
アクセスカウンター
月別アーカイブ