イスラームとは何か/小杉泰


 イスラーム学の重鎮である小杉泰教授のイスラーム概説本。サブタイトルにある通り、宗教・社会・文化を扱う。
 ウマイヤ朝、アッバース朝といった王朝名は知っていることが当然の前提として出てくるので、最低限の知識はあることが前提のようだが、良くも悪くも初学者向けで一般的な概説書、といったところか。日本人による、日本人に対する解説なので、その点非常に読みやすい(たとえば、ヨーロッパの学者が書いたイスラーム解説書は、一神教の前提を当然のこととして書かない場合もある)。
 宗教を超えた総合的な社会体系としてのイスラームを解説するため、社会・文化にも触れる。その体系が経てきた歴史的経緯と、内部の変遷を解説してある。ハディース(預言者言行録)にページが割いてあるのが特徴か。
 
 個人的には学者たちのエピソードが面白かった。

 思想史に関しては物足りないところもあるが、初学者にはありがたい一冊である。
 小杉教授の本では「イスラーム帝国のジハード」などが歴史と思想の展開を絡めて書いてあり非常に面白いので、これを読んだ後に読むことをお勧めしたい。
 思想史をさらに知りたい人には菊地達也「イスラーム教「異端」と「正統」の思想史」か、井筒俊彦「イスラーム思想史」あたりがいいだろう。
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鉄勒京二

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