地中海世界とローマ帝国/本村凌二


 興亡の世界史シリーズ第4巻。ローマ帝国史の概説。
 
 正直に言うと第一章でいきなりカルタゴ炎上の場面が小説風の文章で始まるものだから何事かと思った。松谷健二「興亡史」シリーズなどでこれまでにも見たことがある手法ではあったが、興亡の世界史シリーズで見ることになるとは思っていなかったのだが。それはさておき、本書は興亡の世界史シリーズとしては珍しく、10巻と並んで通史的な構成になっている。
 どうもローマ史のどの学者がどのようなことを言ったか、という点はあまり記述しない方針らしい。そのぶん、名場面、名台詞などローマ史を学ぶ面白さというものを全面に押し出している気がする。ゆえに学者が書いた本ではあるが「歴史学」の本というよりは単純に「歴史」の本だ。
 面白いのは前史としてアッシリア、アケメネス朝(ハカーマニシュ帝国)、アレクサンドロスの帝国に一章を割き、前史として振り返っている点である。その後のローマとの関係が興味深く読めた。

 ぶっちゃけると管理人は、カルタゴ、フン、ヴァンダルやゴートなど周辺民族の歴史と、その後のビザンツ帝国の歴史は一応読みはしたが、古代ローマ史の概説を読んだのは初めてである(某女史のシリーズはどうもオリエンタリズム的偏見の嫌いがあると聞いて読む気になっていない……)。他の概説書と比較は出来ないのだが、初学者が読んでも面白い本だったとは言える。

 ちなみに、今回はさみ込んであるリーフレットの「歴史を記録した人々」は初の世界史たる「集史」を著したラシードゥッディーンである。ローマ史とはあまり関係ないが、この稿も面白かった。
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鉄勒京二

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