聖なる学問、俗なる人生/谷口淳一


 副題は「中世のイスラーム学者」。リブレット「イスラームを知る」シリーズの一冊。
 全四章。
 一章「イスラーム学者の登場」では、イスラーム学者が登場した背景と、その初期の展開について述べる。二章「学問習得の方法」において、学問習得の方法として何が重視されたか、そして何故それが重視されたのかを論じる。この二章は「聖なる学問」の話題である。
 一方、三章「職業としてのイスラーム学者」は、イスラーム学者が、「俗なる人生」でいかに食いつないでいったかに目を向ける。四章「地域の中の学者」では、アレッポのアブー・ジャラーダ家を取り上げ、その具体的な一例を見る。

 イスラーム学者とは何ぞや、ということを立体的に把握するには各面からの記述のバランスが取れていて良い本である。また、学問に留まらない文化史の面からも気付かされる点が多い。
 ただ、基本的に東アラブ世界を中心に扱っており、出てくるのは「アラブ世界のイスラーム学者」である。その点、彼らを特徴付けるのがイスラーム性なのかアラブ性なのかが分からない感がある。頁数の問題もあるだろうから載らないのは仕方がないので、他地域との比較がしたい場合は自分で調べる必要があるか。

 個人的に面白かったのは四章で、この手の本では見ると思っていなかった固有名詞(ヌールッディーンやアクソンコル)が出てきて得をした気分であった。
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鉄勒京二

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