中原を翔る狼 覇王クビライ/小前亮


 モンゴル帝国皇帝、不世出の名君クビライ・カアンの一代記。
 
 この作者のものとしては以前の『蒼き狼の血脈』についで二作目のモンゴルものとなる。今回は王道と言うべきか、チンギスの次に有名であろうクビライ(フビライの方が一般的だが、当時の発音としてはこちらが正しい)を主役に据えている。

 とにかく登場人物が多い。この数は同じ作者の『李世民』以来ではないか。管理人は普通に読めたが、これは予備知識のおかげか、ちゃんとまとめてあるからか……?
 ともあれ、楽しめて読めたのは間違いがない。モンケ時代の雲南攻めから、クビライが死去するまで書ききっている。皇帝を最期まで書くのはこの作者にしては珍しい気がするが。中華だけでなく、総ての大地の上に立つ大カアンとしてのクビライ、その立場とあり方がしっかりと描かれている。
 最近の某教授らの学術研究の成果が盛りこんであると思しきところ以外は、クビライを扱った小説としては割と王道な描き方となっているが、カイドゥの描写がしっかりしており、単に不満勢力を糾合した反乱勢力の頭領というだけではない。ラストの幕引きにカイドゥを持ってきたのは正解だったと感じる。

 しても、この終わり方だと武宗カイシャンの今後が気になるが、さて。
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鉄勒京二

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