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砂糖のイスラーム生活史/佐藤次高


 砂糖をヨーロッパへ伝えたイスラーム世界における砂糖の歴史。
 
 通例、この手の文化史・生活史本はまとめづらい。研究対象となるもの、今回なら砂糖をまとめて扱っている史料などまずないからである。著者の佐藤教授が渉猟したのは年代記、都市史、百科全書、地理書、旅行記、伝記集、医学書、薬事書、薬膳書など。加えて考古学や農学の専門家に話を聞きに行ったともいうから並大抵の時間と努力で書き上げられた本ではない。
 扱われている内容も、砂糖生産の広がり、製糖技術、商業・商人との関わり、薬としての砂糖など多岐にわたり興味深い。つまるところ砂糖と言えば海洋を渡る商品であり、食品であり、薬品でもあった。砂糖に焦点を当てることによって、歴史を多面的に切り、それを一体化して見ることができる。

 興味深かった点は「「製糖業といえば奴隷労働」と考えるヨーロッパでの固定観念にもとづく誤解」の訂正、薬としての砂糖と医学者たちの砂糖観、子供向けの「つり砂糖菓子」、砂糖を用いた中世イスラーム世界の料理レシピなど。特に、年代記を読むだけでは見えてこない庶民の息吹を文学などではなく(文学の研究も参考にはなるのだが)、信頼できる史料に基づいて感じられるのはこの本の大きな利点であると言えよう。
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鉄勒京二

Author:鉄勒京二
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