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シルクロードと唐帝国/森安孝夫


 興亡の世界史第五巻。南の唐と北の遊牧国家、そしてその二つと関わりを持ちながら縦横に活躍したソグド人について解説されている。
 
 ソグド人研究は日本では比較的盛んであるが、ソグド人についてここまでしっかりと解説した概説書はおそらく初めてではないか。
 本書の特徴は、中国本土を支配した唐帝国と、北の遊牧国家、突厥・ウイグルとの関係に、ソグド人を挟み込んで解説している点である。普通一般にイメージされる「商人としてのソグド人」だけでなく、文化の伝達者としての役割、あるいはその軍事力についてなど、ソグド人の果たした役割を多面的に見ている。(軍人としてのソグド人については時代はやや降るが森部『ソグド人の東方活動と東ユーラシア世界の歴史的展開』に詳しい)
 ソグド語、ソグド文字が後に与えた影響や、戦士としてのソグド人がどのような地位にあったかの考察にまで話は及ぶ。

 一方、通史と言うにはいささか扱っている主題が散漫で、読み込もうと思えば予備知識が必要かもしれないが、そのあたりの配慮が足りない。突厥史の一部などは護雅夫の著作に譲ると書いてある部分があるが、該当書籍は既に絶版である。
 これまでに類書が出ていないこともあって一次史料の訳を生のまま引用したり、読者と前提を共有していないと単なるルサンチマンに終わりかねないような表現があったりするのも問題か。興亡の世界史シリーズの中でも癖の強い一冊と言えよう。
 モンゴル史の杉山教授や岡田教授の本にもその傾向があるが、本書も反中華思想にこだわりすぎて中央ユーラシア中心史観に陥っている嫌いがある。序文、後書きも併せて、話半分で読んでおく方がいいところもある。さはさりながら、面白い話も多いので、「だろう」や「違いない」といった表現に気をつけさえすれば魅力的な本ではある。


 ちなみに、本書では間野英二氏を名指しで批判しているが、これに対する間野氏の反論が「「シルクロード史観」再考─森安孝夫氏の批判に関連して─」と題して2008年の『史林』91巻2号に掲載されているので参考までに付記しておく。
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鉄勒京二

Author:鉄勒京二
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