概説書の参考文献リストあれこれ

 初学者にとって、概説書の巻末にある参考文献一覧というのは次のステップに進むにあたって非常にありがたく、是非とも活用すべきものですが、それぞれの概説書によって参考文献リストにも性格の違いがあるのに気付いて面白いと思ったので、ちょっとまとめてみることにしました。
 扱うのは管理人がそれなりに読んできているイスラーム史の概説書です。

■小杉泰『イスラーム帝国のジハード』の参考文献リスト
 興亡の世界史シリーズの一冊。「読者の便宜を考えて、手に入りやすい邦語の単行本を中心に紹介します」とある通り、日本語のものが多く、大半の文献には著者の小杉先生の二三文程度の簡単な紹介が付いていて、本書の参考文献リストは初学者にはとても有用。
 分野分けは「イスラーム(概説・全般)」、「イスラーム史(全般)」、「初期イスラーム(無明時代~アッバース朝)」、「歴史の中のイスラーム(個別主題)」、「古典の翻訳」、「イスラームと現代」と分けられていて、目当ての分野の本を見つけやすいようになっています。
 本書は本論もよくまとまっていて分かりやすくお薦めできる本ですが、初学者の方にはこの巻末の参考文献リストは是非とも活用してもらいたいところ。特に管理人のような史学科の人間ではない者にとっては「入手しやすい」というのは非常に重要な条件になるのです。

■佐藤次高『イスラーム世界の興隆』の参考文献リスト
 中公の世界の歴史シリーズの一冊。
 分野分けは「本書の全体にわたる文献」と、各章に関わる文献に分けられています。
 各文献一行で、紹介文もありませんが、足掛け17頁にわたりかなりの量の文献が挙げられていて、欧文資料もあるので突っ込んだことを調べたい時にはこのリストを参照するのがいいかもしれません。

■山川出版の世界各国史シリーズ『西アジア史Ⅰ』の参考文献リスト
 分野分けは以下のようになっています。
・I 西アジア(アラブ)史全体に関するもの
  A通史・概説
  B研究史・研究案内・歴史地図
  C文献目録
  D事典その他の工具類
  E学術雑誌(国内)
・II 各章に関するもの
 (以下各章ごとの参考文献が列挙される)
 簡単な紹介文付きですが、少し見辛いのが欠点かも。網羅的ではありますが、本書のページ数と扱っている地域・時代の広さを考えるとやや不足気味の感も無くはなく……。

 ついでに『イスラーム世界研究マニュアル』(イスラーム史研究マニュアルではない点に注意)という本があります。図書館に置いてあればこれを見るのも良いでしょうが、手元に置くにはいささか高いかもしれません……私は買いましたが。
 さらに徹底して調べたい時は『史学雑誌』の一年に一度出る「回顧と展望」の号を見るのがいいかもしれません。これも図書館で……初学者向けとは言いがたいので、目的を持って調べる時に。
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鉄勒京二

Author:鉄勒京二
当ブログは一介の歴史好きが読んだ本を紹介したり、書いた文章を公開したりするための場です。執筆記事は西アジア史関係が多いですが、読書は西アジアにこだわらず地域・時代を広く浅く扱っています。
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