マニ教/青木健


 「第四の世界宗教(?)」マーニー教についての概説書。とっつきやすく、面白い。
 
 以前マアルーフの小説『光の庭』を読んでマーニー(マニではなくてこちらが正確らしい)に興味を持ったので、概説書を一冊読んでみようと思って手にとったのが本書だった。
 結論から言ってしまうと著者の文章が非常に面白い。軽妙と言うべきかおちゃらけていると言うべきか、それでも学問的手続きはおろそかにしていないので見事である。マーニー教に興味が無くとも、単純に読み物として面白い。

 教義の内容うんうんよりも(もちろんそれも扱うのだが)、歴史的経緯や地理的広がりとそれに伴う変化に重点を置いて書かれている。研究史に一章を割いてあるのでオーレル・スタインやポール・ペリオの名前が出てくるのが嬉しい。
 「人工宗教」として教祖が完全に教義と聖典を整えてしまったマーニー教、融通無碍に神話の用語を置換し周辺の諸宗教に寄生する形で広がっていったマーニー教、そういったこの宗教の興味深い性格がこれ一冊でなんとなくではあるが分かるようになっている。

 マーニー教会史でイスラーム圏でのマーニー教の話が出てくるのだが、アブー・イーサー・アル・ワッラークとイブン・アッ・ラーワンディーの変人っぷりに思わず目を剥いた。後者はムウタズィラ神学派からシーア派に転向し、それにも飽きたらず総ての宗教を捨てて「自由思想家」になったという。彼らのお陰でマーニー教の内容の一部が判明しているそうだ。

 ともあれ、読みやすく返す返すも面白い本なので興味のある方は是非手にとってもらいたい。
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鉄勒京二

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