スワヒリ都市の盛衰/富永智津子


 世界史リブレット105冊目。東アフリカのスワヒリ諸都市の概説。
 
 サハラ以南の歴史、特に前近代については概説で目に付く情報は少ない。広大なアフリカが(はるかに狭いヨーロッパの「イギリス史」や「ドイツ史」で一冊づつでているのに)、山川の世界各国史で「アフリカ史」で一冊であることからも、その傾向は見て取れる。
 本書は、東アフリカに成立した沿岸部のスワヒリ都市についての概説である。内容は、都市の成り立ち、ポルトガル、オマーンの進出、そして都市の農業について。文章じたいは読みやすいし、予備知識もそれほど必要なかった。

 イスラームとの関わりや、交易都市とみなされがちなスワヒリ都市における農業などスワヒリ都市そのものの記述も面白いが、それとは別に、オマーンのブーサイード朝の商人王(王自ら商売を行なっている)サイイド・サイードに関して、まとまった記述があったのが大きな収穫だった。19世紀、イギリスが覇権を握る以前のインド洋西部の状況を知るのにも都合がいい。
 また内陸部との関わりに関して、奴隷貿易に関する話題も出てくる。このあたり、単純に列強だけを悪者扱いしていては見えてこない。

 アフリカ史の他、海洋史に興味のある方にも勧めたい。
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鉄勒京二

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