英国太平記/小林正典


 13世紀末から14世紀初頭にかけてのイングランドに対するスコットランド独立戦争を描いた歴史小説。
 
 三年ほど前にハードカバー版が出ており、読もうと思いつつ機会を逸していたのだが、今回文庫化されたので手にとってみた。以前レビューした映画『ブレイブハート』と同じ時代・同じ舞台であるが、こちらのほうが扱っている期間は長い。

 時は13世紀末、スコットランド王アレクサンダー3世の死に乗じてイングランドのエドワード1世はスコットランドを併合し、その兵力を以ってフランスを征服することを計画する。エドワードの支配に対する長きに渡るスコットランド人たちの戦いが始まる、という筋書き。主人公は一応ブルース朝初代のロバート・ブルースなのだろうが、群像劇の面が強い。

 文章は読みやすいが、活劇調ではなく、キャラクターも立っているとは言いがたい(ので、解説の北上氏は少々持ち上げすぎな気が……)。ウィリアム・ウォレスのような重要な人物でも死に方の描写が解説調で割とあっさりしており、史談に台詞と心理描写を多めに加えたような印象を受ける。が、それはそれとしても要約力や、わかりにくい部分を平易に解説することに関しては非常に長けているので、結構なページ数があるもののあっさり読めてしまうのは評価したい。
 歴史そのものの面白さが分かる人、もしくは行間を想像で補える人なら、興味深く読めるのではないか。逆にただ頭を使わない「エンターテイメント」を求める人にはあまりおすすめできない。
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鉄勒京二

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