義経の東アジア/小島毅


 源平(+奥州藤原)合戦を東アジアの世界情勢を俯瞰した上で捉え直そうという趣旨の著作。
 
 手に取るまで気付かなかったのだが、著者が『東アジアの儒教と礼』や『朱子学と陽明学』、それに講談社の中国の歴史シリーズの宋代の巻を担当していた小島毅教授だったではないか。どうやら一般向けの砕けた本も色々と書いているようだ。
 さて、本書は先にも書いた通り義経を中心として、当時の日本の状況がどう東アジアの国際情勢と関わっていたかを噛み砕いて説明している本である。「一国史観越えるべし」との主張が喧しい中で、当時大河ドラマ『義経』が放映されていたこともあって一般向けに書かれたようである。
 文体はこなれて……と言うか、ややおちゃらけており、誰でも読めるだろう。

 当時の日本の状況は宋に民間交易を通じて深く結びついている。その宋を北から圧迫していたのが遼と金である。当時の国際通貨としての宋銭の影響や、海域史としての源平合戦などなど、これまでの一般向けの砕けた本の視点では出てこない着眼点(研究書や、概説でも学者が書いている本には出てきていただろうが)でこの時代を俯瞰している。
 管理人としては日本史の復習になった面も含めて大変役だった。

 今は『清盛』も放映されていることだし、もう一度注目されてもいい本だと思うのだがどうだろうか。
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鉄勒京二

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