最近読んだ本など

以下詳細
 

■水島司[編]『グローバル・ヒストリーの挑戦』
 最近大きなうねりとなりつつあるグローバル・ヒストリーの本。第一部がグローバル・ヒストリーの方向付けに関する論集で、第二部が具体例の論集。一国史観越えるべし、というのは夙に言われてるわけですが、いろんな切り口があるんだなあというのが分かる書籍です。
 日本史好きの人にも読んでもらいたい一冊ですね(日本の綿業に関する論文と、近世アジアの銅貿易についての論文がある)。
 歴史上の人物個々人のパーソナリティが関わるような話はほぼ全くと言っていいほど出てこないので、その点いわゆる「歴史ファン」層には受けがよくないかもしれませんが……。


■長倉洋海『マスードの戦い』
 ソ連と、そしてタリバーンと戦った最も著名なアフガン・ゲリラの指導者アフマド・シャー・マスードの記録。著者はフリーの写真家で、しばらくマスードに張り付いて取材していた模様。現場の空気というものはやっぱり歴史家の書く文章よりジャーナリストの書く文章の方が分かりよい傾向があるかもしれませんね。
 ある程度アフガン戦争に関する予備知識があった方がより深く理解できると思いますが、そうでなくても、こういう人がいて、確かに我々と同じ時代を生きていたのだということははっきり伝わってくる本だと思います。
 ラッバーニーの評価が現場ではあまり良くないのが印象的。


■川島緑『マイノリティと国民国家 フィリピンのムスリム』
 フィリピンはアジアでは数少ないキリスト教徒が多数を占める国で、国民の9割がキリスト教徒なわけですが、残り1割はだいたいムスリムです。
 つい先日、30年近く反政府活動を行なってきたMLIF(モロ・イスラーム解放戦線)と、フィリピン政府が歩み寄りの姿勢を見せたとのニュースがありましたが、何のことやらと思った人も多いでしょう。そしてこんな時にばかりフィリピンのムスリムに関する報道がなされるのでなんか危ない人達だなあとの印象がある可能性も高いと思います。
 本書は、フィリピンのムスリムの実像を追った本。もちろんMLIFとその分派前のMNIF(モロ・民族解放戦線)についても扱っていてニュースを理解する助けになる一方で、フィリピン社会の中で普通のムスリムがどうやって暮らしているかにも焦点があたっていて、一面的な理解ではいかんということを教えてくれます。
プロフィール

鉄勒京二

Author:鉄勒京二
当ブログは一介の歴史好きが読んだ本を紹介したり、書いた文章を公開したりするための場です。執筆記事は西アジア史関係が多いですが、読書は西アジアにこだわらず地域・時代を広く浅く扱っています。
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