スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

近況と最近読んだ本など

 先日ああ言ってすぐこのザマなのもアレなんですが、「動乱の東国史」シリーズの『東国の戦国動乱と織豊権力』は少し読んで積んでいます……。戦国時代についての予備知識が致命的に無かった。何か戦国時代についての入門書を読んでからにします。
 三巻『蒙古合戦と鎌倉幕府の滅亡』は既に出版されてますが、これは読めるでしょう、多分。
 あとは、最近は古代ギリシア史に興味が出てきたので色々と読んでいます。なんというか中東史の状況に慣れていると、こうも年代記を含む原典の和訳が出揃っている古代ギリシア・ローマというのはすごく羨ましいですね……。中東史でも旅行記や文学作品は割と東洋文庫その他から出版されているんですが、歴史書の原典の類はなかなか出ないわけでして。

以下、例によって最近読んだ本
 


■野口実『源義家 天下第一の武勇の士』
 「日本史リブレット 人」シリーズの一冊。『平将門と東国武士団』のついでに買ったんですが、どうやら最新刊だったようで。前九年・後三年合戦の復習に読んだんですが、頭に入ったかというと……? まあ基本的なところは押さえられたと思っておきます。
 本書の視点は「天下第一の武勇の士」と讃えられる一方、「多くの罪なき人を殺す……積悪の余、ついに子孫にも及ぶか」とある意味裏表の評価をされている義家が、結局どんな人間だったのか、またどうしてその二つに評価が別れたのか、というところにあります。結局は「どっちの評価もある面では本当」というところに落ち着いているようで、まあ面白みのないと言えばない結論ではありますが、追っていく史実じたいはそれなりに興味深いものがあります。
 あと、前九年・後三年の役で、坂東武者が組織されたという少し古い見方には、本書も釘を刺して「いやそうではない」と言っているわけですが、そもそも管理人は旧説を知らないので「へー」と言いながら読んでおりました。まあ、自国のことなのでもうちょっと勉強せんといかんなあ、と再確認。
 それにしても、日本史の評伝シリーズはこの「日本史リブレット 人」に、ミネルヴァ書房の「ミネルヴァ日本評伝選」、吉川弘文館の「人物叢書」と色々揃ってるわけですが、世界史の評伝シリーズは出ませんねえ。単発ものはそれなりにありますけれども。山川が「世界史リブレット 人」でも出してくれないかと思ってるんですが……。


■クセノポン『アナバシス』
 兄王を討つべく内陸侵攻へ向かうハカーマニシュ朝イーラーンのキュロス王子(小キュロス)に従ってバビロン近くまで侵攻するものの、キュロスの死によってにっちもさっちも行かなくなったギリシア傭兵一万人の脱出行ドキュメント。
 ギリシア傭兵について調べようと思ってたので読んだんですが、話じたいもなかなか面白かったです。ただまあ、著者のクセノポンが自分が指揮をとった脱出行を自分で書いているいわば自慢話の本なので(クセノポン自身はそう思われたくなかったようですが)、『知恵の七柱』みたいなアレコレがあるんではないかと、若干穿った見方をしてしまうのでありました。
 しかしクセノポンは小キュロスを評価したり、またハカーマニシュ朝の開祖キュロス2世(大キュロス)に取材した『キュロスの教育』という歴史小説を書いていたり、ギリシア人のくせに内外の区別なしに是々非々で論じているのでその辺は好感が持てますね。さらに言えばアテナイ人であるのに、後にスパルタ王アゲシラオスに心酔して祖国に弓引くことになってしまったり……。
 ソクラテスの弟子で軍人である上に、その著作のほとんどが現存しているというある意味で研究対象にはもってこいの個人らしく、訳書も『アナバシス』の他に色々出ています。またぼちぼち読んでみたいところ。


■井筒俊彦『イスラーム文化 その根底にあるもの』
 講演録に、井筒先生自身が加筆修正したもの。もともと予備知識のさっぱり無い経済人向けの講演らしいので、語り口が平易ですこぶる読みやすい本です。
 つい先ごろ『井筒俊彦とイスラーム ― 回想と書評』という新刊が出たので、手を出す前に井筒先生の本のうち、積読だけでも消化しておくかと思って読みました。
 講演は三回に分かれていて、一回目がその宗教の大まかな全体像、二回目が外面的なイスラーム法、三回目が内面的なシーア派とスーフィズムという構成になっています。
 この外面性と内面性を分ける見方というのは、下の臼杵先生の大川周明本でもキー概念になっているので、注目すべき点かもしれません。最近のイスラーム入門書として評価の高い小杉先生の『イスラームとは何か』でもこうすっぱりと分類してあるわけではなかったりしますので。
 初出は1981年と少し古いですが、今でも読む価値のある本と思います(いっしょに小杉『イスラームとは何か』、中村『イスラム教入門』あたりも読むと補完できていい気がします)。


■大塚健洋『大川周明 ある復古革新主義者の思想』
■臼杵陽『大川周明 イスラームと天皇のはざまで』
 先の『岡倉天心と大川周明』に続いて大川周明本を2冊読みました。
 大塚先生の方は評伝的な要素を持った大川の思想の解説、臼杵先生の方はやや各論的で、大川の思想とイスラームの関連について書いたもの。
 臼杵先生の本は大川本人とその時代についてはもちろん、イスラームについて、また大川のシオニズム論についてはイスラエルについて、相当の知識が無いと出来ないことで、なかなかの労作で余人には真似できない仕事であろうと思います。まあ必要となる予備知識の幅が広く読者は限られそうなのが残念ではありますが……。
 あと、唐突に脇道に逸れて第五章で東京裁判とイラク戦争後のフセイン裁判の比較を行うという離れ業をやってますが、ああなるほど、と腑に落ちるところもあります。まあ浅い理解で要約して誤解を招くといけないので詳しいことは読んで下さい、という話に。
 もともとイスラーム研究のパイオニアとしての点から大川に興味を持ち始めたんですが、大東亜戦争のイデオローグという面だけではない大川の再評価が必要であろう、という点については首肯しつつも、ああどうもこれは大川の生きた時代についてもうちょっと知らないと個人的な評価すら下せないな、と思い始めたのでちくま学芸文庫の「日本の百年」シリーズあたりに手を出したいところです。
プロフィール

鉄勒京二

Author:鉄勒京二
当ブログは一介の歴史好きが読んだ本を紹介したり、書いた文章を公開したりするための場です。執筆記事は西アジア史関係が多いですが、読書は西アジアにこだわらず地域・時代を広く浅く扱っています。
当ブログの内容を雑誌・書籍等にご利用されたい場合はご一報下さい。
管理人への連絡は掲示板か拍手でどうぞ。

検索フォーム
カテゴリ
リンク
アクセスカウンター
月別アーカイブ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。