近況と最近読んだ本など

 11月になりましたね。比較的過ごしやすいと言われる瀬戸内で暮らしてますが、さすがに寒くなってきました。そろそろ冬物をひっぱりださねば……。
 金欠で本も溢れてるのでそろそろ本棚整理して本を売るかとも思うんですが、どれもこれも必要な本ばっかりで、そうでなくとも二束三文で売るのはちょっとなあ、という考えもあってなかなか実行に移せません。仕方がないから資金はあんまりないけど新しい本棚買うか。
 NHK FMの「青春アドベンチャー」で『サマルカンド年代記』の放送が始まって、毎日楽しみに聞いています。セルジューク朝通史も放置してるしどうにかせんとなあ。

以下、例によって最近読んだ本
 


■湯浅治久『蒙古合戦と鎌倉幕府の滅亡』
 吉川弘文館の「動乱の東国史」シリーズ第三回配本の第三巻。内容は時頼の執権就任・宮騒動~蒙古合戦~鎌倉幕府の滅亡あたり。鎌倉仏教に関する章と、地域社会に関する章にも頁が割いてあります。
 このあたりの時代の日本史はモンゴル関連でちょろっと調べたことがあるので、割とすらすら読めました。
 北条氏が種々の事件を利用して有力御家人を排除し、その後蒙古合戦に至る過程で西国にも幕府の権力が及ぶようになり、その過程で逆に全国の色んな問題をしょいこんでしまって滅亡へ至る、という過程が一つのメインストリーム。伏流として銭の流通にともなう経済の流動化によって、悪党や有徳人の勢力が大きくなっていったことも説明されています。多少予備知識があることを差し引いても、なかなか読みやすくて良い本でした。
 個人的にはこの時の東国の幕府と西国の朝廷の改革運動が連動しているという話を読んで(「東国史」シリーズなのでそれほど詳しいわけではないですが)、この頃の朝廷と西国についてちょっと興味が出てきました。
 あと、参考資料に杉山先生の『クビライの挑戦』が挙げられてて、文中でもちゃんと「ク」ビライ、「ウルス」の表記になってるのに、何故かチンギスの表記はチンギス・「カーン」。まあ目くじら立てるほどのことではないですが、ちょっと気になりました。
 シリーズの次回配本は四巻の『南北朝内乱と東国』のようで、これも今から楽しみです。


■小杉泰・長岡慎介『イスラーム銀行 金融と国際経済』
 リブレット「イスラームを知る」シリーズの1冊。これで読んでないのは後2冊になるわけですが、三巻がなかなか出る気配が無いですね。未読の七巻を読んで待つこととしましょう。
 本書は、イスラーム法で禁じられているリバー(≒利子)を取らない「無利子銀行」であるイスラーム銀行の概説書。利子が禁じられている理由の考察や、様々な金融商品の形態が、どのようにしてイスラーム法内で合法とみなされているかの解説があって、非常に面白いです。イスラーム法に則った中世来の金融取引の伝統にも少し言及があって、このあたりはもう少し詳しく知りたいところ。


■冲方丁『光圀伝』
 帯の「なぜ、この世に歴史が必要なのか」という文句に惹かれて、管理人としては珍しく、平積みになってる歴史小説を新品で購入(さして売れない作家の本や学者先生の書いた本は応援の意味もこめて普段から新品買うようにしてるんですが)。『天地明察』で一躍大ヒット作家になった冲方さんの歴史小説二作目。なんか他所のレビュー見てると、絶賛されてる一方で、『天地明察』よりも落ちるよなあという評価が時々目に付きますが、個人的にはかなり楽しめました。
 主人公はご存知水戸黄門。幼いころから老境に至るまでの一代記。ライトノベル作家らしい畳み掛けるようなイベントが巻を置くことを許さないとでもいいますか、結局2日で読んでしまいました。戦は無いが読ませる歴史小説というのは色々参考になります。
 四六判750頁で1900円という事実に驚いた自分に愕然としましたが、どうにも普段歴史書買ってると本の値段に対する感覚が狂いますねえ。需要の少ない本はどうしても高くなるのだなあ。
 近いうちに『天地明察』も読もうと思います。


■吉川永青『時限の幻』
 戦国ものの歴史小説。主人公は蘆名氏に仕えた「会津の執権」金上盛備。メインの敵役は伊達政宗。割とよく見かける、超有名人と絡ませることによってある程度マイナーな人物でも興味を持たせられる、というパターンですね。
 著者の吉永さんは「戯史三国志」という三部作を書いてまして、それが面白かったのと、表紙が気に入ったので本作も購入。
 蘆名っていうと摺上原の戦いで伊達にボコられたイメージしかなかったんですが、まあ逆に言うとそれだけ資料が無いわけで、うまく創作で埋めているんだなあと。ただまあ資料ではっきりしてる部分はちょっと資料に引きずられてる感があるかなーと思いつつも、それなりに楽しめました。
プロフィール

鉄勒京二

Author:鉄勒京二
当ブログは一介の歴史好きが読んだ本を紹介したり、書いた文章を公開したりするための場です。執筆記事は西アジア史関係が多いですが、読書は西アジアにこだわらず地域・時代を広く浅く扱っています。
当ブログの内容を雑誌・書籍等にご利用されたい場合はご一報下さい。
管理人への連絡は掲示板か拍手でどうぞ。

検索フォーム
カテゴリ
リンク
アクセスカウンター
月別アーカイブ