モンゴル帝国/NHK「文明の道」プロジェクト


 初学者向け:◎

 NHKスペシャル「文明の道」シリーズを書籍化したものの五巻目。監修は例によってモンゴル帝国史で有名な京都大学教授杉山正明氏。このシリーズ中でも割と手堅く、突拍子も無いような記述は少なかったように思う。
 放送された「文明の道 第8集 クビライの夢・ユーラシア帝国の完成」では、クビライ・カアンが大きく中心に添えられて扱われていたが、この本では杉山氏が通史(チンギス・カン誕生からクビライ・カアンの死までが中心)を説明しており、放送の不足分も補えるようになっている。
 ただ、例によって杉山氏の独特の強烈な主張が、一般向けということを意識してか多少抑えられているものの随所からにじみ出しており、面食らうこともあるかもしれない。

 モンゴル帝国は何も残さなかった、などと言われるが、資本主義経済の萌芽やアフロ・ユーラシア規模での一体化された空間などはまさしくモンゴルの遺産と言えるのではないか(また、「帝国の構造」や「チンギス・カンの血筋に対する精神的崇敬」等の遺産については前日紹介した同杉山氏の「モンゴル帝国と長いその後」に詳しい)。

 放送分を見、この本を読んだ上で思ったことは、大都のCGは映像で見た方が全体図が掴みやすい、ということだ。この番組のこの回の一つの目玉だっただけに、やはりその映像は一見の価値がある。
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鉄勒京二

Author:鉄勒京二
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