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イブン・バットゥータの世界大旅行/家島彦一


 イブン・バットゥータ『大旅行記』の役者自身の手による『大旅行記』の入門書。
 
 イブン・バットゥータは『大旅行記』(『三大陸周遊記』)を著した14世紀の旅行家である。著者はその大旅行記の訳者だが(全八巻で東洋文庫から出版されている)、本書はその要約と副読本的な性格を併せ持ったものと言えようか。

 序章及び一章~七章という形になっているが、うち三~七章は大旅行記の要約がメインである。著者は研究のため世界各地を飛び回っており(『海域から見た歴史』などでその成果が分かる)著者自身の手による写真が多く掲載されている。また、『大旅行記』のその部分がいかなる重要性を持つものかといった話題も随所にあり(例えばモルディブを訪れた記録は、数少ない当地についての一等史料であるなど)、また信用できる記述と、疑わしい記述の峻別などもコンパクトにまとまっているので、『大旅行記』を読む時に傍らに置いておくと便利だろう。

 一章は十三・十四世紀の歴史的イスラーム世界の解説となっており、主に経済圏、人・物・金の移動といった面からこの時代が俯瞰できるようになっている。マムルーク朝経済圏という概念が面白い。
 二章は『大旅行記』の書誌学的な情報である。旅行記文学の伝統や、『大旅行記』成立の過程、写本と校訂本について、また研究史などがまとめられている。

 『大旅行記』の予習・復習にも適しているが、これだけで読んでも損はない本であると思う。
プロフィール

鉄勒京二

Author:鉄勒京二
当ブログは一介の歴史好きが読んだ本を紹介したり、書いた文章を公開したりするための場です。執筆記事は西アジア史関係が多いですが、読書は西アジアにこだわらず地域・時代を広く浅く扱っています。
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