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近況と最近読んだ本など

 なんかブログに書き込む度に久しぶりになってる気がしますが、しばらくはこのペースが続きそうです。早く時間を捻出する術を覚えたいところ。

 ザンギー朝の重臣ザイヌッディーン(ザンギーとサイフッディーン、クトゥブッディーンの三代に仕えた)の隠居した時の『完史』の記事を訳しましたが、主君のザンギーやらサラーフッディーン・ムハンマドやらぶっ飛んでるアミールが多い中で、割とまともな統治をやってた御仁のようです。戦も強く、常勝将軍と言って差し支えない実力があったとのこと。
 ウサーマの『回想録』によればザンギー曰く「神を怖れるが、俺を恐れない男」だそうで、敬神の念はあった模様。もっとも、アッバース朝カリフ政権に対しての遠慮はあまり無かったようで、セルジューク朝と一緒にバグダード包囲を行ったりしてますが(後にバグダードとは和解してメッカ巡礼する)。
 ザンギーに最初期から仕えているにも関わらず、シールクーフの第一回エジプト遠征の撤退支援作戦(1164年)に参加していて戦果を挙げていて、元気な爺さんです。

 あとは岩明均さんの『ヘウレーカ』がオーディオドラマ化されてNHK・FMの青春アドベンチャーで放送されるようで、今から楽しみです。

 以下、最近読んだ本
 


■松久寛『播磨の島津氏 播磨国下揖保庄司等越前島津氏の探求』
 郷土史家の手による播磨の島津氏本。出版も神戸新聞社でさもありなん。神戸新聞は郷土史本ではいい仕事をしています。
 越前島津氏は九州の島津の遠縁にあたる家で、本書では鎌倉末期から南北朝時代にかけて播磨で赤松円心と一緒に倒幕に加わったり尊氏を支えたりした島津忠兼の記述が多いです。
 とは言っても軍記物に華々しく出てきたりする人物ではないので、軍忠状やら推挙状やらで行動を追う形に。ゆえに、仕方がないことではありますが、残念ながらどういう性格の人物だったのかもあまりわからず(尊氏の新邸で弓場始の儀で射手をつとめたりしたそうですが)。
 忠兼以降の播磨の島津家は、赤松家のゴタゴタに巻き込まれたり、地元の小競り合いでボロボロになってみたり、大阪夏の陣で負けて帰農したり、江戸時代に入って醤油の製造業を始めたり、日本海軍の軍人になったり、というのが一連の流れ。
 話の流れがやや散漫な嫌いがあることと、一部史料のチョイスがそれはどうなのかと思うところがあるのを除けば、いい本かと。


■網野善彦・石井進・福田豊彦『沈黙の中世』
 日本中世史研究の三人が、中世考古学の成果やこれからのことを鼎談形式で語っている本。扱われるテーマは「銭」、「北」(アイヌと蝦夷地や日本海の話)、「鉄」、「歴史学と考古学」。
 文献史料は饒舌である一方、考古資料は沈黙しているが、その考古資料に語ってもらわねばならぬ時代である、という石井先生のまえがきの言葉の意味を、読み進むにつれてよくよく理解できるようになります。
 例えば中世史に限らず経済は言うまでもない重要トピックですが、現物の「銭」が掘り起こされて分かることがこんなにあって、かつ分からないことの整理(=問題提起)もここまでできるのか、という点は不勉強ではありますが今更ながらに新鮮です。100文銭は何枚か?と問われて、100枚だろう、と思ってはいけないのであります(3枚欠け等があり、この欠けている枚数はどこへ行ったのか? そしてその目的は? などの問題について語られています)。
 もともと1990年に出た本を平凡社ライブラリーに収録したものなので、20年以上も前の本ということになりますが、この本で提起された問題は果たして今どういう答えが出ている、あるいは出ようとしているんだろうか、ということが気になる次第。


■山内昌之『帝国とナショナリズム』
 山内昌之先生と言えばこのブログ的には『近代イスラームの挑戦』の人ですが、最近は割と広く手を出しているらしく、日本史に関する著書もちらほらあるようで……。
 本書は「帝国」と「ナショナリズム」をキーワードにして、帝国の解体が残した正負の遺産が、現在の国際情勢に与えた影響を歴史的な視点で追う本です。ただ、いろんな本や論集に掲載された原稿を集めたもののようで、やや統一性に欠ける嫌いもあり。
 個人的に印象に残ったのは第一章と第三章。
 第一章「世界史と日本史の可能性」は、羽田先生の『新しい世界史へ』を読む前に、前史をまとめたものとして読んでおけば理解が深まったかもしれないなあと思ったりします。宮崎市定の「歴史学なるものは本来世界史たるべきものである」という言葉の紹介からはじまり、世界史と日本史の関わりを古い時代から説き起こすという内容。
 第三章「歴史のなかののネーション」は、「ネーション」とは何ぞや、という話から、日本とヨーロッパの「ネーション」の違いに話が進んでいきます。日本がなぜこうもたやすく国民国家たりえたのか、という疑問の解決に役立つかと。
 他にも、汎アラブ主義が結局「帝国」を志向していたという喝破や、ここ数年の中東変動を国ごとにまとめて分析した部分など、興味深い記述はたくさんあります。
 具体的にどういう興味がある人に勧めればいいのかというと戸惑うんですが、まあ、悪い本ではないでしょう。
プロフィール

鉄勒京二

Author:鉄勒京二
当ブログは一介の歴史好きが読んだ本を紹介したり、書いた文章を公開したりするための場です。執筆記事は西アジア史関係が多いですが、読書は西アジアにこだわらず地域・時代を広く浅く扱っています。
当ブログの内容を雑誌・書籍等にご利用されたい場合はご一報下さい。
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