近況と最近読んだ本など

 初任給が入ったので梅田の本屋に行って来ました。二万円ほど買いましたが、割と私にしては自重した方かななどと。自由にできる金が増えるのはいいんですが、逆に今度は読む時間が……最近はネットやアニメ見たりする時間を削って本読んでます(おかげで今日この記事ふくめて三件まとめて更新することに)。
 あと、山川出版社が4月下旬発売と言っていた「世界史リブレット人」シリーズですが、若干遅れて5月8日になったようです。まあ、これくらいの遅れなら許容範囲内なのかなあ。何にせよ楽しみです。

 以下、最近読んだ本。
 


■本村凌二『古代ローマとの対話――「歴史感」のすすめ』
 本村先生のローマ史本。通史・概説というよりは時代順にテーマを扱ったエッセイ集のような雰囲気。かなり一般向けで砕けた感じの文体です。
 古代っていうのは4000年もあるんだよ、という話からはじまり、古代中世近世近現代と時代を分けて歴史を把握している我々のように、古代人もさらに昔の時代を把握していたのだという見方に持って行って色々語る方式(帯の「ローマ人はわれわれの同時代人」というのはそういう意味)。
 なので、近現代との比較のような話が割合ホイホイ出てきます(新渡戸稲造の『武士道』と「父祖の遺風」とか)。寄り道も多いですが、雑学として色々と楽しめます。ドルの記号がなぜ$なのかとか、本村先生が競馬好きだとか(笑)
 大して難しい話も無いし、出てくる人物の名前も知名度の高い人が多いので(さすがローマ史)、多分そんなに予備知識が無くても気軽に読めるでしょう。


■山本紀夫『天空の帝国インカ その謎に挑む』
 とあるブログで紹介されていたので読んだもの。
 著者は歴史学や考古学の方ではなくて民族学者だそうで、実際本書も歴史の話よりもインカでの暮らしと文化の話がメイン。中でも特に多いのが「イモ」。文明は穀物栽培とともに始まるという常識から、南米の文明ではトウモロコシがこれまで重要視されてきたんですが(イモ類はすぐ腐るし運搬面倒だし)、実は南米は根菜農耕文化圏だったのだというなかなかおもしろい話。インカ帝国のあったあたりはかなりの高地で寒暖の差が激しく、それを利用してイモの水分を抜いて保存・運搬がしやすいようにできるのだそうで。一方トウモロコシは酒になるようで、主食としてよりもむしろ宗教的にかなりの重要性があったとか。
 で、その宗教ですが、インカの人々は突拍子もないもの……というか突然変異的なもの(いわゆる「奇形」であったり)を尊ぶ伝統があるとか。自然に生まれてくる「異形」的なものだけでなく、あえて人間が手を加えて「異形」化させて聖性を帯びさせるようなこともある(王の遺体のミイラ化であるとか、異様なまでに整った石積みであるとか)という説明になるほどと思いました。
 インカ本は以前読んだ『インカとスペイン 帝国の交錯』に続いて二冊目ですが、この本はかなりのオススメです。


■清水義範『夫婦で行くバルカンの国々』
 バルカン旅行の本。前作のイタリア旅行記がいまひとつだったのでたいして期待せずに買いましたが(清水義範さんは私の読書人生のきっかけの一人なので期待してない本でも買ってしまうのであった)、期待よりは良かったかなあと。
 「バルカンの国々について、私はほとんど何も知らないのだ」という作者が、「ややこしそうだから面白そう、という勘によって」バルカン半島を旅行することにして、そうだったのかー、と素直に驚いたり楽しんだりしながら道中を綴っています。多分、この「無知」の状態を筆者と共有できる人でないと楽しめないかなあというのが読後の印象。ゆえに現地事情に詳しい人には全く面白くないでしょう。なお私はバルカン半島についてはあまり知識がないので楽しめました。
 10カ国を400頁強で巡っているので、都合平均して一国40頁くらい。それぞれ各国の略史もちょろっと載っています。各国の概略というか、大づかみなイメージはだいたい頭に入ったような気が(逆に言うとそれ以上は別に)。
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鉄勒京二

Author:鉄勒京二
当ブログは一介の歴史好きが読んだ本を紹介したり、書いた文章を公開したりするための場です。執筆記事は西アジア史関係が多いですが、読書は西アジアにこだわらず地域・時代を広く浅く扱っています。
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