オスマン帝国の時代/林佳世子
世界史リブレット19冊目。オスマン帝国概説。
内容としては同じ著者の『オスマン帝国500年の平和』をコンパクトにしたような印象である(こちらの方が出た時期は早いが)。リブレットなので90頁の小著ではあるが、オスマン帝国のほぼ全時代を叙述し、なおかつ停滞・衰退期として捕らえられていたスレイマン大帝以降の時代についても詳しい。
古いものも含めればオスマン帝国史の概説書は多いが、気軽に読める本のうちで本書に特徴的なことと言えば、先に書いたようにスレイマン大帝以降の時代について、またオスマン帝国の官僚制について詳しいことである(これは『500年の平和』もそうであるが、あの本は少しページ数が多く難しい)。社会史についても他書に比べてより具体的な叙述になっている。
入門用に適しているのはもちろん、例えば鈴木董先生の『オスマン帝国』などを読んだ後でも新しい発見があるだろう。