ビスマルク/大内宏一


 世界史リブレット人の一冊。ドイツを統一した宰相ビスマルクの評伝。
 
 ビスマルク伝は分厚いものをちょくちょく見かけるものの、それほど関心のある人物ではないのでこれまで読んだことがなかったのだが、本書は薄い上に新シリーズの第一回配本で出たということで購入してみた。

 ビスマルクの評価は時代によってかなり揺れ動いていたようで(日本の足利尊氏のようなものか)、なかなか扱うのが難しい人物のようである。本書は①どのような状況のものとで彼はプロイセンの指導者となれたのか、②どのような状況が彼の指導のもとでドイツ帝国の建国を可能としたのか、③彼がつくりだして指導した国家はどのような性格のものであり、どのような状況を生み出したのか、という三つの問いを立て(この問いの順番が巧妙で、概ね時系列順に読める)、この三つの問いを各章で論じるという方法を取っている。各章の最後には親切にもその章のまとめが付されており、予備知識のあまりないこのブログの管理人には大変ありがたかった。
 ビスマルクは自らは君主権力の側に付き、保守派に属しながらも、政治の近代化によるメディアの影響力の増大などをうまく利用し首相になり、周辺各国の状況を最大限利用しながらドイツ統一をなしとげ、ドイツ帝国を近代的な強国へと育て上げた。その経緯が、100頁に満たない小著ながらしっかりと書き込まれている。

 なお、世界史リブレット人シリーズで最初に出版された5冊のうち、ラインナップ予定が巻末についているのはなぜか本書だけである。
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鉄勒京二

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