王安石/小林義廣


 世界史リブレット人の一冊。北宋時代、旧弊を打ち破るべく新法改革を進めた王安石を書く。
 
 王安石と言えば高校世界史選択者にとっては間違いなく暗記せねばならない人名であるが、著者の言うとおり一般的な知名度はそこまで高くないかもしれない。本書は、その王安石について、彼の新法をメインに据えて解説する本である。
 まずはじめに彼の経歴が語られ、その後で改革の内容と、同時代の反対意見、王安石の国家論と輿論、さらに改革の評価というように別立てで記述されている。

 初めて知ったのだが、王安石以前にも「慶暦の新政」と呼ばれる人事分野を主とした改革運動があり、王安石の改革を考える上では無視することができないという。王安石の改革はこれを超え、さらに抜本的なものであった。王安石は新法を通じて富国強兵と綱紀粛正を目指したが、彼はこれまでの皇帝機関説的な立場とはことなり、君主の役割をかなり重視していたという。しかもこれは、新法反対派であった司馬光とも共通しており、その方法を巡って彼らが対立するところとなる(司馬光は根本的な改革を志向せずともなんとかなると思っていたようである)。

 具体的な新法の解説の部分では、均輸法、青苗法などが解説されているが、教科書的な説明から一歩踏み込んでおり、分かりやすい。どのような状況がそれを必要としたのか、また、その実施に伴い何が変わったのか、さらに次の章でその具体的な反対意見とそれに対する再反論も解説されている。

 論点も整理されており、文章も読みやすく、王安石を知るためにはまず最適の一冊であると言っていいだろう。
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鉄勒京二

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