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近況と最近読んだ本など

 何か相変わらず暑いなあと言っていたのに急に寒くなって秋がどこに行ったのかと思ってるところに台風が連続で来て、異常気象ここに極まれりの感がありますが、いかがお過ごしでしょうか。
 異常気象と言えば、磯貝先生の『武家政権成立史: 気候変動と歴史学』が発売されております。西アジア史は割と一般書だけでなく研究書も読むんですが、日本史は一般書ばっかりだったのでこの辺、手を出してみたいなあなどと思いつつ、積読も多く。

 それはそうと、ちょっとした事情でコミュニケーションスキルの本を読んでいますが、なんというか、話すより聞け、とか、相手の気持を推し量れ、とか、わかっちゃいるんだけど……みたいな記述が多くてどうしたものか。歴史好きの方なら多かれ少なかれ身に覚えがあると思いますが、改めて考えてみると私も「話したい」というより「語りたい」(もっと言えば「語り合いたい」)性分なのでありました。まあ、うだうだ言ってても仕事にならないので噛み砕きつつ実践していきたいところ。

 あと、大学の方から学内IDの期限が切れるよ、というメールが来てて、急いで定額有料論文のpdfを集めています。電子ジャーナルのかなりの部分が利用できなくなるのは痛いですね……。

 新刊情報では、岩波現代全書から『中国とモンゴルのはざまで――ウラーンフーの実らなかった民族自決の夢』という本が出るそうです。外モンゴルでは田中克彦先生の本が色々ありますが、内モンゴルの近現代史というとこれまた貴重なので期待しています。岩波現代全書は現状、いい感じのラインナップで来ているのでこの調子でがんばってもらいたいものです。
 また、文春文庫が学術レーベル「文春学藝ライブラリー」を創刊したようです。出版社のことを考えると歴史よりも思想に強いレーベルになりそうな気もしますが(理系の方はどうだろう)、要注目。

 以下、最近読んだ本(今回は二冊だけ)
 

■小川信『山名宗全と細川勝元』
 吉川弘文館「読みなおす日本史」は絶版になった日本史関連の名著を収録してくれている有りがたいシリーズですが、ちょうど旧版を古書で買うかどうか悩んでいた『山名宗全と細川勝元』が非常にいいタイミングで発売されました。もとは'66年発売の「日本の武将」シリーズの一冊だったようで(私が買おうと思ってたのは'94年の新装版)、要するに評伝的な性格の強い本のはずなのですが、この本は宗全と勝元を中心に据えつつも、両家の成り立ちやこの時代の社会状況などの割合が多くなっています。
 例によって斯波・畠山両管領家の内紛やら足利将軍家の後継者争いやらが細川勢=東軍と山名勢=西軍の対立に収斂していく経過は非常にわかりにくいんですが、宗全と勝元のプロフィールやパーソナリティを書いている部分はなかなか面白いです。あとまあ例によって山名と赤松の関係もちょくちょく出てきて個人的に楽しいところ。
 室町時代の戦乱と言えば関東の享徳の乱も重要ですが、この辺はまだ読めてないです。動乱の東国史シリーズの『鎌倉府と室町幕府』が11月にやっと出るようなので、それを切っ掛けにしようかなあなどと。


■隅谷三喜男『賀川豊彦』
 近代日本の思想家としてはアジア主義者関連ばかり読んできたので、ここのところ賀川に触れる機会が多いこともあり、少し毛色の違う賀川豊彦の評伝を選んでみました。
 賀川豊彦は日本の生協運動の先駆者として名高い人物(本書で書かれている通り彼がやったのはそれだけではありませんが)。よく持ち上げられる貧民街のキリスト者として、あるいは生協運動の先駆者としての顔だけではなく、彼のキリスト教思想や、労働運動における理想論の挫折の経緯などが書き込まれていて彼も色々あったんだなあと思わせてくれる本です。なお、キリスト者としても賀川は主流とは言いがたい行動原理の持ち主であったそうな(というか、どうも教会に批判的な面も少なからずあったらしい)。
 キリスト教を精神的な支柱として運動を展開した賀川は、マルクス主義やサンディカリズムを掲げる左派との対立の中で労働運動や農民運動から退くことになります(このあたり、山内先生が研究対象としているイスラームと社会主義の接続と比較すると興味深いかもしれない)。彼が生協運動に力を入れたのは、過激化する労働運動に愛想を尽かした面も少なからずあるようです(ただし本書は賀川の生協運動についてそれほど詳しくありません)。このあたりの経緯はあまり一般に知られているとは言いがたいのではないでしょうか。自分が育てた運動から排斥されるというのは、時勢に左右された面もあるとは言え悲しいものがあります。
 おそらく周知の通り私はキリスト教よりもイスラームに興味関心のある人間で、キング牧師よりもマルコムXの方が気になったりしていますが、近代日本の思想史をたどるにあたって、キリスト教もどうにも避けては通れそうにないなあと思うのでありました。なお、彼と対比される左派の運動家にあの大杉栄がいますが、彼の評伝も近いうちに読んでみたいところ。
プロフィール

鉄勒京二

Author:鉄勒京二
当ブログは一介の歴史好きが読んだ本を紹介したり、書いた文章を公開したりするための場です。執筆記事は西アジア史関係が多いですが、読書は西アジアにこだわらず地域・時代を広く浅く扱っています。
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