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イブン・ジュバイルとイブン・バットゥータ/家島彦一


 世界史リブレット人の一冊。副題「イスラーム世界の交通と旅」。著者はイブン・バットゥータ『大旅行記』の訳者家島彦一氏。
 
 イブン・バットゥータは周知の通り高校世界史Bでもほぼ必ず出てくる重要人物で、『大旅行記』(『三大陸周遊記』とも)は、マルコ・ポーロと同時代の旅行記として極めて名高い。一方、イブン・バットゥータと比べてイブン・ジュバイルはやや知名度が落ちるが、十字軍時代にメッカ巡礼を行った現スペイン出身の書記官であり、彼の旅行記にはサラディン期のエジプト・シリアの記述が多く、そちらに興味のある向きにとってはお馴染みの人物だ。

 さて、本書は副題の通り彼らの時代にその旅の要因となったものや、その旅を可能にした環境、また旅行記文学などについて簡潔にまとめたものとしての性格が強い。
 肝心の中身であるが、前置きの「イブン・ジュバイルとイブン・バットゥータの重要さ」と、①「イスラームにおける多様な旅の目的と動機」から④「旅人が投射した視線」までの5部に分けられる。
 特に②「巡礼の旅を可能にした「交通」の条件」では、4つの公式巡礼キャラバン道と、旅を可能にした都市の機能、客人保護や庇護の習慣などについて記されており、想像力がかきたてられる。
 また、③「巡礼紀行文学(リフラ)の発達」では、二人から少し離れて、リフラの歴史について語られる。リフラのジャンルに含まれる書物は、イブン・ジュバイルの時代から19世紀末までのおよそ700年間に64種にのぼるという。

 見ての通り全体を通じて、二人の伝記的な記述は薄い(もっとも、書けることは限られているのだろうが)。この二人の旅行記はどちらも和訳が出ており(『大旅行記』は東洋文庫、『イブン・ジュバイルの旅行記』は講談社学術文庫)日本語で読むことができるので、そちらを当たるのが手っ取り早いだろう。『大旅行記』は和訳で8巻に渡る大著であり、簡単に済ませたければ以前紹介した平凡社新書の『イブン・バットゥータの世界大旅行』がおすすめである。
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鉄勒京二

Author:鉄勒京二
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