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ハンムラビ王/中田一郎


 世界史リブレット人の一冊。ハンムラビ法典の制定者として有名なハンムラビ王の評伝。
 
 ハンムラビ王というと「ハンムラビ法典」が頭のなかで最初に出てくるが、それ以外に書くことがあるのだろうかと思いながら手にとった。実際のところどうかといえば、著者によると他のバビロン第一王朝の王たちに比べてハンムラビ王は残された関連史料が多いらしく、それなりにその行動を復元できるようだ。

 本の内容は、まずはじめに法典のあとがきにある名君として記憶されたいというハンムラビの願いを紹介したあと、その願いが達成されたかどうかを、その治世をなぞりながら検証していくという形になっている。
 「①ウル第三王朝の滅亡とアムル人諸王朝の出現」ではハンムラビ登場までの前史を解説する。少しややこしいが、地図を参照しながらここを読み込んでおけば、後の部分は割合楽に読める。
 「②ハンムラビによるバビロニア統一」では、ハンムラビのバビロニア天下取りの過程が書かれる。高校世界史Bではすっ飛ばされるような地方の王国(バビロンをはじめ、マリ王国、ラルサ王国、エシュヌンナ王国など)の合従連衡と、バランスメーカーであり、強力な軍隊も保持していた東方のエラム王国の関係はすこぶる面白い。法典の制定者というだけあって、内政家のイメージの強いハンムラビが、バビロニア統一の「英雄」でもあるということが再確認できる。
 「③豊穣の維持者としてのハンムラビ」は、主に運河工事について。
 「④正義の維持者としてのハンムラビ」で、ハンムラビ法典について。法典そのものについてもいくつか具体的な内容を挙げながら解説がしてある。興味深いのは、法典の制定者であるハンムラビが実際に法典の理念に則った統治を行っていたか否かという問いに、200通も残っているというハンムラビの手紙を用いて答えている点である。日常生活で発生した諍いに、ハンムラビは公正な態度で挑み、著者の言葉を借りれば「支配下の住民の苦情に耳をかたむけ、そこなわれた正義の回復に努める有能な王」であったと評価できるという。
 ハンムラビは、戦争での勝利や実り豊かな収穫、国民に対する正義などを実現したまぎれもない名君であった。そう記憶してほしいという彼の望みは叶えられたのではないか、と著者は結んでいる。
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鉄勒京二

Author:鉄勒京二
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