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物語 スペインの歴史 人物編/岩根圀和



初学者向け:◎

 スペインの歴史はややこしい。と、言うと不正確な表現故に怪訝な顔をされるので言い直そう。イベリアの歴史はややこしい。
 原住のケルト民族から始まり、ローマの征服、ヴァンダルの通過、西ゴート王国の成立、アラブの侵入、いくつかのキリスト教国ができ、レコンキスタの完了、やっとイベリアが統一されたと思ったところで、オーストリアのハプスブルク家に乗っ取られ、次はフランスのブルボン家、そして独裁制になり、民主化を経て今に至る。
 こと、イベリアのラテン系民族の視点で見ると、外から入ってきた支配者が多い。そのため日本の書籍ではイベリアの歴史は他の国々の歴史のついでのように出てくることが多い。よってイベリアの通史というものをきっちりと把握する機会に欠けるのである。
 同じ著者の「物語 スペインの歴史」は未読なのだが、この「物語 スペインの歴史 人物編」はそんな分かり辛いイベリアの歴史を把握する一助になると思う。そもそもが高校世界史にイベリアの歴史が少ししか出てこないこともあいまって、イベリア史を全く知らない日本人に向けて書かれているのでおそらく世界史初心者でも十分に読める本だろう。
 マクロ視点から見て把握できないものが、ミクロ視点から見ると把握できることがある。「人物」に焦点を当てているので、イベリア史で躓いた人におすすめしたい。もともとエル・シドの章が目的で買ったのだが、女王フアナの物語や、作家セルバンテスの物語も面白く読めた。
 ラス・カサスの物語など、本当に物語風になっており、読者の感情移入を誘う作りになっている。
 また、各章が独立しているので、興味のある人物の章から読んでも一向に差し支えない。
 SoundHorizonの「聖戦のイベリア」が好きな人には一章のレコンキスタの英雄と呼ばれる騎士、エル・シドの物語を読んでもらいたい。良い意味で目から鱗であろう。

 前述のように、世界史の知識がほとんど無くとも一般常識があれば読めるので、初学者は世界史をイベリアの歴史から入ってみるのも悪くはないだろう。そういう意味でも勧めたい本である。


章立て

I 騎士エル・シドの物語
II 女王フアナの物語
III 聖職者ラス・カサスの物語
IV 作家セルバンテスの物語
V 画家ゴヤの物語
VI 建築家ガウディの物語
プロフィール

鉄勒京二

Author:鉄勒京二
当ブログは一介の歴史好きが読んだ本を紹介したり、書いた文章を公開したりするための場です。執筆記事は西アジア史関係が多いですが、読書は西アジアにこだわらず地域・時代を広く浅く扱っています。
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