近況・新刊情報と最近読んだ本など

 チュニジア沖でローマ帝国時代の海底遺跡が発見されたことがニュースになっています。4世紀の津波で沈んだネアポリスの一部と思われるとのこと。
 アラブの春で政権が転覆した国の中では唯一まともに民主化が進んでいるのがチュニジアで、考古学調査ができる余裕もある由、喜ばしいことです。願わくば、シリアやイラク、リビアでも早く平和が戻って欲しいものです。

 また、吉川弘文館の人物叢書の2017の復刊予定が出たようです。知らない間に在庫切れになってた本もちらほら。中世史で興味のある人物の分はあらかた揃えているので買うとしたら『勝海舟』あたりでしょうか。

 さて、新刊情報。
 中公新書9月にカレン・アームストロング『イスラームの歴史』。著者は歴史学ではなく宗教学の研究者のようです。日本のイスラーム概説は歴史学者か地域研究者の方が書くことが多いのですが、さて、これはどんな本になっているのでしょう。
 同10月に石野裕子『物語 フィンランドの歴史 北欧先進国「バルトの乙女」の800年』 。中公新書の物語シリーズは最近調子がいいですね。
 メチエでは峰岸純夫『享徳の乱 中世東国の「三十年戦争」』。峰岸先生の本は足利・新田関係でよく読んでますが、今回は享徳の乱とのこと。Amazonで紹介文を見たところなかなか挑戦的な文句が踊っています。
 現代新書には旦部幸博『珈琲の世界史』。著者は医学系の方で、コーヒーマニアのようです。コーヒー本と言えば中公新書の『コーヒーが廻り世界史が廻る』が既にあるわけですが、どう差別化してくるのか気になりますね。
 吉川弘文館の人物叢書10月には小池進『保科正之』が登場。初期江戸幕府のキーパーソンです。
 戎光祥出版今月の新刊は中世武士選書から野田浩子『井伊直政』。今年の大河ドラマも徳川の井伊谷侵攻を迎えて転機というところですが、合わせてきた感じですかね。実像を知るシリーズの方は大西泰正『宇喜多秀家』。
 ずれこみまくってる山川世界史リブレット人シリーズ『ラシード・アッディーン』はAmazonでは12月予定になってますね。

 以下、最近読んだ本。

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池田嘉郎『ロシア革命』

 
 ロシア革命をタイトルに冠している一冊だが本書の主人公はレーニンやボリシェヴィキではない。二月革命で君主制が倒れ、十月革命でボリシェヴィキが権力を奪取するまでの間、曲がりなりにも西欧諸国と並ぶ(ボリシェヴィキのように「追い越そう」としたわけではない)制度・体制を作り上げようとした臨時政府が本書の記述の中心となる。ゆえに、二月革命から話が始まり十月革命で締められるものの、それは革命の完成ではなく、臨時政府の終わりであり、本書の副題は「破局の8ヶ月」なのである。

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近況・新刊情報と最近読んだ本など

 すっかりご無沙汰で広告が出てしまってましたが、ブログ更新せずに何をやっていたかというと事情があって9~10世紀のバグダードの世相、文化、人物なんかについて調べていました。まだ宗派対立・宗教対立が顕在化せず、色んな人間が技術や知識や資金を持ち寄って社会を作っていっていた時代である一方、街には任侠・無頼の徒が闊歩し貧富の差も広がり始めていた頃ということになりますが、なかなか色んな面から切り取れて面白いところです。

 ところで、『サマルカンド年代記』や『エイレーネーの瞳』を放送してきたNHKラジオの「青春アドベンチャー」枠で知人の同人誌が原作の「斜陽の国のルスダン」が放送されるようです(詳細はこちら)。モンゴル侵攻期の中世グルジアが舞台のお話です。是非チェックをば。

 さて、新刊情報。
 吉川弘文館からは8月に人物叢書から『源頼義』が。源氏全体としてはややマイナーかもしれませんが、それでも該当時代の重要人物です。
 講談社現代新書8月は岩崎周一『ハプスブルク帝国』。448頁ということなのでかなり分厚い本になりますね。(何度か言った気もしますが)現代新書は最近メチエに色々吸い取られているのか元気がありませんが、頑張って欲しいところです。
 同じく講談社の学術文庫9月では興亡の世界史の収録が再開されています。今回は『地中海世界とローマ帝国』。文庫サイズでローマ史をざっとさらう分には便利な本になるのではないでしょうか。
 白水社9月にユージン・ローガン『オスマン帝国の崩壊――中東における第一次世界大戦』というタイトルが挙がっています。とうとう邦訳が出るかと思うとなかなか感慨深いものがあります。これはもうマストアイテムでしょう。
 予定は未定ですが岩波現代文庫に年内に『ラディカル・オーラル・ヒストリー』が収録されるようです。これもいつか読まねばと思いつつ先延ばしになっていたので確保したいところ。

 以下、最近読んだ本(今回は2冊)。

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マーク・マゾワー『バルカン』


 副題は「「ヨーロッパの火薬庫」の歴史」。

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近況・新刊情報と最近読んだ本など

 久々に連載記事を書き始めたわけですが、手を付けてなかった洋書を読んでいくと書こうと思っていたことと真逆の記述があって頭を抱えている管理人です。……いやはや、趣味とは言え先行研究はちゃんと把握しておくべきですね。

 ところで、だいぶ前からトルコ本国などで人気だということで話題になっていた歴史ドラマ『華麗なる世紀』が日本でもCSで放送されるそうで(公式サイトはこちら)。『オスマン帝国外伝』というタイトルになっており、じゃあ正伝はどこやねん、というツッコミはあるわけですが、まあトルコドラマの日本上陸自体は歓迎したいところです。
 このドラマ、基本的に宮廷が舞台なので日本の大河ドラマよりも韓ドラの宮廷ものに近い雰囲気があるんですが、日本でどう受け入れられるのか気になるところです。

 さて、新刊情報。
 中公新書7月は渡辺克義『物語 ポーランドの歴史――東欧の「大国」の苦難と再生』 、亀田俊和『観応の擾乱――室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い』 、桃井治郎『海賊の世界史――古代ギリシアから大航海時代、現代ソマリアまで』と、面白そうな本が三冊も出ます。『応仁の乱』のヒットが話題になって久しいですが、『観応の擾乱』はそれに続くことができるんでしょうかね。物語シリーズとしては意外なことにポーランドはまだ出てなかったのか、というところ。こちらも楽しみです。
 平凡社からは新シリーズ「中世から近世へ」という叢書が創刊される模様。第一弾は7月で柴裕之『徳川家康』と黒田基樹『羽柴家崩壊』ということの模様。四六判で1700円とのことなので割と手頃なシリーズになりそうです。
 また、アブー・スラミー『イスラーム騎士道』という本が作品社から8月に。フルースィーヤを扱った本になるんでしょうかね。類書が無いのでマストアイテムになりそうです。

 以下、最近読んだ本(今回は二冊のみ)。

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鉄勒京二

Author:鉄勒京二
当ブログは一介の歴史好きが読んだ本を紹介したり、書いた文章を公開したりするための場です。執筆記事は西アジア史関係が多いですが、読書は西アジアにこだわらず地域・時代を広く浅く扱っています。
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